人生ではじめて犬と暮らして三年が経つ。
散歩したり遊んだりしながら犬をじっと見ている。興味深いのは、直感的判断を瞬時に行なっているらしいこと。おいしそうなら駆け寄ってきてむしゃぶりつき、好きじゃないなら興味を示さない。捕まえようとすると警戒心を強めて逃げようとする。
おいしいこと、大事なこと、危険なことを一瞬で察し、それに直結した行動をとる。生き物としてはふつうかもしれないが、同居人(犬)がそれをするのを間近で見ると「かしこいな」と唸ってしまう。
そして「かしこい」ってこういうことだったのか、と気づく。時間をかけて複雑なパズルを解くでもなく、強靭な論理を構築するでもなく。鋭く知覚し、直感し、ほぼ同時に行動すること。本能的にほしいものを欲し、危険らしいことは回避すること。それが「かしこい」だった。
理屈であーだこーだ考えるより、直感的判断こそがずっと大事。本能的なものを研ぎ澄ませ、直感を即行動に移すこと。そういうかしこさ、今からでも手に入れることができるだろうか?