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裏テーマ。

さあ書こう、というとき、テキストはいつもテーマを持っている。

テーマは、テキストを推進する力となる。けれど一方で、テーマがあるがゆえに、いろんなことが書けすぎてしまう(?)とか、どうもいつかどこかで聞いたことがあるような話に落ち着いてしまいそうになるとか、あまりうまくいかなそうな場面が生じることは多々ある。

そういうときには、なにか別の、やや遠いところにあるような条件を新たに設定する、ということを試したい。「裏テーマ」をあえて(だれに言われるでもなく)つくるのだ。例えば、テーマは「セーター」で、「記憶」を裏テーマとする。素材についてでもなく、編み方についてでもなく、「記憶」という第2の軸をわざと立てることで、セーターを語るテキストに思いもしなかった奥行きが生まれた、みたいなことになるときがある。

裏テーマについては必ずしもはっきりと書かなくても良いかもしれない。なんとなく想像するだけでも、意外なワードが入ってきたりして、テキストになんらかの影響が及ぶ。そうしてわずかな揺らぎのようなものが生じることで、テキストが煌めきだすのだ。